はじめに
今年2025年、我が街・大阪では久しぶりの国際イベント「大阪・関西万博EXPO2025」が開かれています。
開催前はいろいろと言われていたのも結局は最初だけ。始まってみれば、自分が参加した開幕当初でも思った以上に会場は賑わっていました。
そんなソロ活男子の自分が見つけたのが、1日70人だけが入れる“幻のサウナ”。
万博会場の西の端──知らなければ辿り着けないような場所にひっそりと設けられた『太陽のつぼみ』。
そこは、“リチュアルサウナ”という少し珍しいスタイルで、
五感を研ぎ澄まし、何かを感じ、そして心に残す──そんな体験ができる特別な空間でした。
今では来場者数も多くなり、サウナの予約もなかなか取りづらくなっているようですが、それでも興味のある方や、行けないけどどんな場所か知りたい方の参考になれば幸いです。
太陽のつぼみサウナ|抽選・先着・当日予約のリアル体験記
予約のチャンスは最大4回!
すでに万博に行かれた方や、予約を済ませている方には常識かもしれませんが、実はパビリオンなどの施設予約には最大で「4回」チャンスがあります。(詳細は次のリンク先で。ここでは簡単に)
2か月前の抽選予約
→入場予約さえあれば誰でも申込み可能。ただし、2か月も先なので、仮に当選しても万博の入場予定日を変更すると当選が無効になります。
予定が読める方以外は注意が必要です。
7日前の抽選予約
→同上
3日前の先着予約
→予約日の3日前0:00スタートの先着予約。
当日枠(現地先着)
→当日、ゲートを通過したあと(10分後)から申し込み可能。
7日前抽選は落選
実際に自分がこのサウナの存在を知ったのは、7日前抽選の締切直前。2か月前抽選では何も知らず、オーストラリア館だけ申し込んで当選していました。
そこから慌てて7日前抽選で「太陽のつぼみ」に全振りしたものの、まさかの全滅。
「人気ないって言われてる万博やのに、めちゃ競争率高いやん!」
というのがその時の正直な感想です。
3日前と当日に幸運が待っていた!
ここまでくると、「絶対に行きたい!」と思い直して、次の3日前先着に賭けることに。
0:00ちょうどにアクセスすると、なんと夜の枠が1つだけ空いていて即ゲットしました。
さらに当日、ゲートを1番乗りで通過した後に15分ほどで当日の空き枠を確認したところ、奇跡的に昼の枠も空いていて、そちらもすかさず予約。
結局、昼と夜の2枠を取れたのですが、一人でも多くの人に体験してほしいと思い、夜の分はキャンセルすることにしました。
「太陽のつぼみ」までの道のり
サウナは会場の“西の果て”に
事前に公式マップを確認して、「太陽のつぼみ」が会場の西の端にあることは把握していました。
この日は朝から会場内をいろいろ見て回っており、(※開幕直後はどのパビリオンも選ばなければ即〜10分程度の待ち時間で入れる状況)
サウナの集合時間が近づいてきたタイミングで、西ゲート方面へと向かいました。
予想以上に遠い!!!
大屋根リングを抜けて、西ゲート前を通り、くら寿司の横を通過。
思ったより距離があり、気づけば時間ギリギリに。
「やばい、遅刻する!」
と小走りで、人のほとんどいない裏道のような通路を抜けて、ようやく『太陽のつぼみ』の入り口に到着しました。

まずは受付

集合時間ちょうどに、受付建物のドアを開けて入場。
自分が最後の参加者で、すでに中では説明が始まっていました。
まずは、利用規約や免責事項にサインをして、入口でQRコードをタッチして予約確認。
その後、タオル一式とイオンウォーター(900ml!)が入ったメッシュバッグを受け取ります。
このサウナ、入場無料とは思えないほどの充実した準備物。正直ありがたい。
更衣室で水着に着替える
更衣室はそれほど広くなく、譲り合いながら使うコンパクトな構造。
鍵付きロッカーに、シャワーブースが3つ。
アメニティとして、香りのよいボディソープなども用意されていました。
いよいよサウナエリアへ(撮影NG)
全員の準備が整うと、インストラクターの誘導でサウナエリアへ。
ここからは本格的な“リチュアル(儀式)サウナ体験”の始まりです。
なお、内部の写真撮影は全面禁止となっており、
この記事ではテキストとイメージ画像のみで雰囲気をお伝えします。
少しでもイメージが伝われば幸いです。
いざサウナ室へ──リチュアル体験の第1セット
多様な参加者と、強風の中でのスタート
この日の参加者は13名ほど(だったと思います)。
男女比はほぼ半々で、60代くらいのご夫婦、知人同士の女性グループ、自分のようなソロの男性・女性など、本当にいろいろ。
ソロでも全く浮く雰囲気ではなく、むしろ一人参加も自然な感じでした。
当日は、今では想像しにくいくらいの強風が吹き荒れていて、サウナの目の前は海。
普段ならサウナに入る前に外で説明があるはずですが、この日はとにかく風が強く、まずはシャワーを浴びてすぐにサウナに入りましょう、という流れに。
中に入る前に、インストラクターの方から説明がありました。
今回のリチュアルサウナ体験には、全部で11のリチュアル(儀式)が含まれているとのこと。
先ほどのシャワーが、その一つ目だったそうです。
サウナ室の構造と演出
いよいよ、公式サイトなどで見ていた白いつぼみ型のサウナ室へ順番に入っていきます。
内部は六角形のように組まれていて、2段の着座スペースがあり、入口に用意されたサウナマットを各自が敷いて座ります。
この日のインストラクターは、サウナ師匠の秋山大輔さん(TTNE株式会社)。
[TTNE]株式会社さんは、自分がこれまでに訪問して感激した、北海道・知床の「北こぶし」や、山形・鶴岡の「SUIDEN TERRASSE」、千葉・流山の「スパメッツアおおたか竜泉寺の湯」、沖縄・那覇の「hotel&rooms NAHA port」など、数多くの有名・人気・サウナシュラン受賞のサウナを手がけられています。(実はこれらのサウナ体験のいくつかも、今後この「ソロ活男子のちょっといい時間」に出てくる計画・・・それはまたいつか)

ロウリュで蒸気を発生させた後、扇子を使って蒸気を拡散してくれます。
「太陽のつぼみ」をイメージしたアロマ(柑橘・森林・フローラルなど全部で7種類をブレンドしたオリジナルアロマだそうです)の香りがふわっと広がります。
室内にはスピーカーが設置されていて、聞こえてくるのは実際の太陽の活動音など。
中央に配置されたサウナストーンの周りを囲う棒の下部にはいくつか水が放出しているポイントがあって、そこから発する蒸気が室内の湿度と温度をキープしているそうです。
さらに、天井の上部にはファンが回っていて、熱風をしっかり循環させる設計になっているなど、随所にこだわりを感じました。
水風呂でのリボーン体験

約10分ほど中に入った後は、一度外に出て軽くシャワーで汗を流し、すぐ隣の水風呂へ。
水風呂は3~4人でいっぱいになるくらいの大きさで、岩風呂のように見えますが、これも3Dプリンタで作られたものだそうです。
水に耳をつけると、なんとイルカ(あるいはクジラ?)の鳴き声が聞こえる仕掛けになっていて、後から聞いた説明では、 これは「サウナで熱を受けてから海に還り、リボーン(生まれ変わる)体験」を意図しているとのことでした。
本来はここで外気浴の休憩時間が入る予定でしたが、この日は外があまりにも強風で寒く、すぐに全員がサウナ室へ戻って第2セットへ。
第2セット 『太陽のつぼみ』が花開く
少しを得て、多くを与える

第二セットも、最初と同じようにロウリュが行われ、扇子での拡散がありましたが、音の演出ではインストラクターの方が砂を使って海の音を模す機器で、波打つような音が室内に響いていました。
さらに、全員に一輪ずつ造花が配られました。
(本当は生花を使いたかったそうですが、万博の制約でできなかったとのこと)
花には「太陽のつぼみ」をイメージしたアロマの香りがつけられていて、その香りを感じながら、ウィスキングのように水滴を浴びたり、スピーカーから流れる音声(日本語と英語があったと思います)に合わせて参加者全員が呼吸を合わせて整えました。
少し吸って、多く吐く。少しを得て、多くを与える。
そんなフレーズが今でも自分の中に残っています。
フリースタイルで、「ととのう」の先へ
もしかして、フロンティアになったかも・・・!?
第二セットを終えて水風呂に入った後は、あとは自由にサウナを楽しんでいいとのことでした。
本来なら残り時間はあまりないそうですが、この日は外気浴の時間が取れなかったこともあり、30分くらい余裕が残っていたと思います。
まず自分は、少し離れた場所にあった放射状に配置されたベッドに寝転んで、先ほどサウナ室内でもらった造花の香りをゆっくり感じようかと…。
ところがスタッフの方に「造花はお持ち帰りになれません」と声をかけられました。
「いえ、ベッドで横になりながら香りを感じたいのですが、いいですか」と伝えると、快くOKをいただけました。
最近の体験談を拝見すると、今は多くの人がベッドに造花を持っていくスタイルが定着しているようで、もしかすると自分が先駆けだったのかもしれません(笑)。
放射状に並んだベッドは、未体験ゾーンの気持ちよさ
さて、このベッド。最初に見たときは、正直、梱包材みたいな簡易ベッドにしか見えず、「これは気持ちよくなさそうだな」と思っていましたが、いざ寝転んでみると…なんとめちゃくちゃ気持ちいい!
この日は寒さで凍えそうなほどでしたが、気温が心地いい日なら本当に寝入ってしまったかもしれません。
ふと、足先に暖かさを感じて・・・そう、なんとスタッフの方がそっとゆっくり、お湯をかけてくださってました。なんという贅沢!
このまま、ずっとこうしていたい・・・と思いつつ、いや、もう1セット、今度は自分のペースでサウナへ!
自分のペースで最後の第3セット

サウナ室に戻っての第3セット。
しっかりと汗をかいて水風呂に入り、残り時間が少なくなってきたところで、今度は水風呂のすぐ近くの椅子で外気浴をしました。
ここではスピーカーから雨の音が流れていて、スタッフの方に聞いたところ、この音は白神山地に設置されたマイクからリアルタイムで流れてきているとのこと。
タイミングによっては鳥のさえずりや獣の声が混じることもあるそうです。
最後まで居座る客(汗)
また、さっきの螺旋ベッドの話をしていると、夏場には中心部から冷気が出るようになっているそうで、これを聞いたときは「また体験したいな…」と思いましたが、さすがにもう一度は無理でしょうね。
そうこうしているうちに、なんと自分が最後のお客に。 「あと10分しかない!着替えないと!」と気づいて、スタッフの方に「ありがとうございました!」と挨拶して急いで更衣室へ戻り、シャワーを浴びて受付へ。
(ちなみに、最初の説明から着替えを終えるまでが、ちょうど90分の構成です)
サウナ後のちょっとした会話と“オロポ”

受付に戻った時には、すでにパビリオン内には自分一人だけ。
こんなブログを書くこともあろうかと、「すいません、今なら少し写真を撮ってもいいですか?」と聞いてみましたが、
「すいません、写真は一切ダメなんですよ……代わりにと言ってはなんですが、これを」と、スタッフの方が渡してくれたのは珍しい瓶のポカリスエットとオロナミンC、そして紙コップ。
「え、こんなのまでいただけるのか!」と驚きつつ、離れたテーブルで紙コップにポカリスエットを半分入れて、そこにオロナミンCを注いで……。
するとスタッフの若いお兄さんに「お客さん、サウナーですね!」と言われてしまいました。
「いや、これはオロポ作るための紙コップですよね!」と返すと、ニコッと笑ってくれました。
お兄さん、サウナが大好きで、この会場でアルバイトされているとのこと。
同じサウナーとして、こういう現場で働けるのは本当に羨ましいです。
サウナ後は、万博ならでは!ベルギーの元祖ピルスナービール!

そうして90分の太陽のつぼみ体験終了。
サウナを後にして、また大屋根リングの内部へ。
随分と歩きましたが、事前に目をつけていたベルギー館へ。
そこで飲んだ世界最古のピルスナービールを味わいながら、冷たい強風でサウナの予熱が解き放たれていく余韻に浸ってました。
おわりに|五感で各々が感じ取る“太陽のつぼみ”というストーリー
11のリチュアル体験サウナ。
シャワー、サウナ、ロウリュ、太陽の音、アロマ、水風呂、外気浴、海の音、造花、ウィスキングのような水滴、そして参加者で息を合わせる呼吸の時間…。
これで11個すべてなのかは定かではありませんが、当たらずとも遠からず、でしょう。
いまこの記事を書きながら、改めて思い返してみると──
太陽の活動をテーマに始まり、ロウリュで肌に感じる熱波、耳に残る音、水風呂で海を思わせる冷たさ、空間に漂う香り。
そして、最後に現れた造花の演出は、まさに“太陽のつぼみ”が花開く瞬間を象徴していたのかもしれません。
それはきっと、五感すべてで各々が受け取るストーリー。
リチュアル(儀式)という名にふさわしい、心と身体が導かれていくような、不思議で──でも、一生忘れ得ない貴重なサウナ体験でした。
歩き回る万博の一日。その合間に訪れた、心がゆるむ、静かな時間。。
こんなソロ活があってもいい──そう思える、特別なひとときでした。
実際の構造や演出が気になる方へ|動画リンク紹介
本記事では体験談をもとに、「太陽のつぼみ」サウナの魅力をお伝えしましたが、内部の雰囲気や構造をより具体的に知りたい方には、以下の動画もおすすめです。
動画の後半では、「太陽のつぼみ」を手がけた太陽工業株式会社の能村祐己社長が、MCの福澤朗さんとともに、このサウナの誕生背景や思い、“ほぼすべてが膜で構成されている”という素材面でのこだわりを解説しています。
サウナ好きはもちろん、建築や素材技術に興味のある方にも見応えのある内容です。
また、動画の前半では、太陽工業さんが今回の万博で関わっている、落合陽一さんのプロジェクト「null2」に使われている“鏡の膜”の制作や、東京ドームの屋根素材の開発実績など、同社が手がけてきた膜構造素材の先端事例も紹介されています。
※テレビ大阪「関西リーダー列伝」(2025年5月25日放送)
次回予告と、このブログについて

仕事柄、さまざまな年代や職種の方とお話をする機会があります。
それは僕にとって、楽しくてやりがいや生きがいを感じられる、大切な時間です。
でもその反動か、プライベートでは、
誰とも話さず、何も考えず、「無」になれる時間が恋しくなります。
もちろん誰かと過ごす楽しさも知っているけれど、
今の自分にとっては、
ひとり気ままに、気の赴くままに過ごすひとときが、
いちばん贅沢に感じるのです。
このブログでは、そんな僕自身の視点から、
ひとり時間を心地よく過ごせる場所や、
ちょっと上質な楽しみ方を気ままに綴っていこうと思います。
同じように「ひとりの時間」が好きな方に、
ほんの少しだけ楽しんでもらえたら幸いです。
次回は、Vol.3|南の楽園リゾートの旅をお届けする予定です(8月上旬予定)