はじめに

「男性セラピストの小さな秘密」は、施術を受ける方には見えない──
その裏側でセラピストがどんなことを考え、どんな準備をしているのかを、少しだけご紹介するシリーズです。
男性セラピストに対して、少し緊張される方もいらっしゃるかもしれません。
だからこそ、施術のひとつひとつに込めている配慮や、準備の姿勢をお伝えできたら──と思い、このシリーズを始めました。
自分のスタイルを語るのは少し照れますが、
「こんなふうに向き合ってくれているんだ」と思っていただければ嬉しいです。
お客様がドアを開けるその前に──
実はもう、施術は始まっています。
ここでは、クラトームでお迎え前に行っている「小さな準備」たちを、ほんの少しだけご紹介します。
1|まずは洗濯物の処理から

室内に干してあるタオルをたたむところから
営業前のルーティンで、最初に取りかかるのが施術室内に干してある洗濯物のたたみ作業です。
リラクセーションサロンではよくあることですが、一回の施術で使うタオルの枚数は意外と多く、この作業がけっこう時間を取ります。
不織布の導入と布タオルへのこだわり
最近は「使い捨て不織布」のオプションも導入しましたが、
正直、毎回洗って干して畳むのはそれなりに大変です。
それでも、布タオルの肌ざわりが与えてくれる安心感──これは自分の中でどうしても譲れないところです。
外干しから室内干しへ/ホテル風の折り方
ちなみに、以前は外干しをしていたのですが、排気ガスや花粉への対策もあり、今はすべて室内干しに切り替えました。
たたみ方にも少しだけこだわっています。
ホテルライクな折り方を真似していて、バスタオルもお客様がさっと広げられる──
そんな形を目指しています。
2|掃除は…正直、得意ではありません。

でも、やらないとは言ってません(笑)
恥ずかしながら、掃除はちょっと苦手分野です。
でも、もちろん気持ちよく過ごしていただくために、しっかり取り組んでいます。
とくに一日に複数のご予約がある日は、お客様がお帰りになったあとも、換気・タオル交換・清掃は毎回実施しています。
(細かいホコリなど、もし気になることがあれば、こっそり教えてください…)
3|毎朝の日課──タイ伝統医学の祖、シワカ・コマラバ師への祈り

開業以来ずっと続けている“オンナモー”
タイで学んだ伝統的なタイマッサージでは、施術前にタイ伝統医学の祖、シワカ・コマラバ師(タイの先生たちも、自分も「シワコーさん」と呼んでます)への祈りを捧げる儀式があります。
「オンナモー」と呼ばれるこの祈りの儀式を、クラトームでも開業以来、営業日には欠かさず続けています。
木曜は果物を供え、集中力を整える
また、毎週木曜日には果物を供える習慣も続けています。
これらは自分のためでもあり、集中力を高めて「今日も安全に、丁寧に施術ができますように」と気持ちを整える時間でもあります。

バンコク・ワットポーと続く縁
さらには、タイ再訪時には、ペンダント型の「シワコー」さんと共に、タイマッサージの総本山・ワットポーを欠かさず訪問して、その場でもお祈りを捧げ、タイ本国との接点を絶やさないようにしています。

ワットポーで恩師との再会も
2022年11月、タイ再訪時のワットポーでは、かつての恩師・ソンポン先生と偶然再会するという出来事もありました。
しばらくお目にかかっていなかったこともあり、最初は「…あれ?ソンポン先生かな? いや違うかな?」と、少し離れた場所から訝しげに見ていたのですが──
先生は以前よりもだいぶんお年を召されていて、正直、確信が持てずにこちらから声をかけるのをためらっていたんです。
そんな自分に、「hiro!長く会ってなかったなー!元気なのか!」と笑顔で声をかけてくださったその瞬間、最後にお目にかかってから10年は過ぎているのに、名前を覚えていてくださったことが本当にうれしくて、思わず胸が熱くなりました。
あらためて、こうした人とのご縁や、現地での学びの時間が今の自分を支えてくれている──そんな気持ちを強く感じた出来事でした。
ソンポン先生には、Chetawan Salaya校でのProfessional Level2コース受講時に厳しくも温かいご指導をいただき、プライベートでもご自宅に泊めていただいたりと、当時は本当に多くのご縁をいただいていました。
※当時の記録は、こちらのブログにも少し残しています。ご興味があれば。
※この「オンナモー」については、開業前の修行時代に書いたブログ記事でも少し触れています。お時間のある方は、よければこちらもご覧ください。
4|メニューに応じた道具の準備

施術内容によって変わる事前準備
ご予約いただく内容に合わせて、施術のスタイルや準備も変わってきます。たとえば:
タイボディワークやメンズワーク
→ マットの準備(タイ式)/ハーブボールを温める
アロマ系の施術
→ ベッドを使用/オイルウォーマーで適温に加温/ホットタオルの準備
当店ではすべてのオイル施術で、温めたオイルを使用しています。
また、背面の施術が終わったあと、体が少し冷えやすいタイミングで、温かいホットタオルを背中にそっとのせて、体の冷えを和らげます。
※こうした準備の関係上、ご来店後にメニューの大幅な変更があると、お時間をいただく場合がございます。できるだけ事前に内容を決めていただけると、とても助かります。
5|お客様情報の確認
新規の方・リピーターの方、それぞれに合わせて
初めてのお客様については、事前のやり取りを見直し、どんなご希望があったかを確認します。
2回目以降の方の場合は、過去の施術記録を見返しながら、以下のような情報をチェックしています:
前回お疲れだった箇所
アロマの香りの好み
施術中にお話したこと
印象に残っているご様子(お仕事のこと、趣味の話など)
前回ご利用後のアンケートで書いていただいた内容
とはいえ、全部を完璧に覚えているわけではありません。
でも、「この前の会話や施術など、自分のことをちゃんと覚えていてくれてるんだ」──
そんなふうに感じていただけるよう、できるだけ丁寧に思い出すようにしています。
最後に──この準備の先にあるもの
こうしてひとつずつ整えて、
“お客様に心からリラックスしていただく時間・空間”をつくっています。
ご満足いただく時間を過ごしていただくには、もちろん、施術そのものの技術も大切な要素です。
でも私は、空間・空気・温度・香り……そのすべてが整ったとき、
初めて「満足の声」をいただけるのだと思いながら、毎回お迎えの準備をしています。
このあと、お迎えしてから施術に入るまでの間にも、いくつかの「小さな秘密」があります。
Vol.2では、その続きを少しだけお話しします。