はじめに
おひとり様で「海のリゾート」というのは、なかなかハードルが高い。
周囲はカップルか家族連ればかりで、自分だけ浮いてしまうんじゃないか──そんな不安が先に立つ。
でも、海外だとそうでもない。
以前は東南アジアのリゾートを一人で巡ることも多く、ソロであることが特別視されることもなかった。
それが、コロナ禍で海外旅行が封じられたことで、代わりに目を向けたのが「沖縄」だった。
はじめは半信半疑。
でも、実際に足を運んでみると──あれ? 意外と、ありかもしれない。
一人でも自然に溶け込める場所って、ちゃんとあるんだなと気づかされた。
今回訪れたのは「ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート」。
コロナ禍の数年間、同じ沖縄でもハレクラニ、ハイアットリージェンシー瀬良垣、テラスクラブなど、泊まり歩いたけれど──
最終的に「ここが一番自分に合っているかも」と思えたのが、実はこのホテルだった。
アクセス:レンタカーじゃなくても、大丈夫
アクセスはレンタカーなしでもOK

大阪からの朝一番の飛行機に乗ると、だいたい10時過ぎには那覇空港に着く。
多くの旅行客は、そこからレンタカーを借りて沖縄を回るのだろう。
けれど最近のレンタカー事情は、なかなか厄介だ。
予約していても、空港からシャトルバスで営業所まで移動し、さらに受付で並ぶ。時間も手間も、それなりにかかる。
そんな光景を横目に、自分はインターコンチネンタルまで直行するリムジンバスを選ぶことが多い。
本数こそ少ないが、事前にネット予約ができ、ホテルのエントランスまで連れて行ってくれる。これが非常に楽なのだ。
時間が合わないときは、路線バスの「120番」も悪くない。
那覇市内を抜けるまでこそ少し混むが、それを過ぎると案外空いていて快適。30分に1本と、本数も意外に多い。
──などと書きつつ、今回はまず那覇市内で途中下車することにした。
ちょっと寄り道して、ある店でお昼をいただいてから、ホテルへ向かう。
那覇でまず立ち寄ったのは──
STAND EIBUN

お昼を食べに向かったのは「STAND EIBUN」。
人気の沖縄そば専門店「EIBUN」の2号店だ。
平日限定の日替わりメニュー

ここで食べた「CURRY OKINAWA SOBA」が、もう絶品。
平日限定の日替わりメニューで、カレー×沖縄そばという組み合わせが、驚くほどスパイシーに美味しくまとまっている。
開店前に名前をリストに書いておけば、並ばずに入れるシステムもありがたい。
というのも、ここはかなりの人気店。
タイミングを逃すと、長時間待つことになるし、人気メニューはすぐに売り切れてしまう。
でも、大阪からの朝一番の飛行機で那覇入りして、そのまま直行すれば──
ちょうど開店前後に到着する、絶妙なタイミングなのだ。
120番バスで向かう、沖縄らしい景色の中を
国際通りから、バスに乗って

食べ終わったあとは、満足感の余韻に浸りながら、国際通りから120番のバスに乗ってホテルへ向かう。
途中からは海がちらりと見えはじめ、米軍基地の横を抜けていくルート。
車窓には、いかにも沖縄らしい風景が流れていく。
万座ビーチ前で下車

「万座ビーチ前」で下車すれば、ホテルの入り口はすぐそこ。
とはいえ、エントランスの建物からフロントまでは少し距離がある。
そんなときは、入り口の警備員の常駐していた(今は誰もいない?)シャトル乗り場からフロントに連絡すれば、シャトルバスで迎えに来てもらえる。
もちろん歩いて行くこともできるが、ここはせっかくだからシャトルに乗ってみた。
シャトルバスでエントランスへ

ゆっくり進むバスの窓からは、万座毛の景色やホテル前のビーチが見えてくる。
そのままフロント前で降りると、スタッフが声をかけてくれた。
チェックインを申し出ると、案内されたのはフロント奥のクラブラウンジ。
そう、今回は「クラブラウンジアクセス付き」のプランを選んでいたのだ。
クラブラウンジと、リノベーションされたスイートルーム
伝統のリゾートに新しくできたクラブラウンジ

インターコンチネンタル万座ビーチリゾートは、開業からすでに40年以上が経つ老舗のリゾートホテル。
建物には多少の経年感もあり、客室も改装はされているものの、若干の古さは否めない。
とはいえ、それが「沖縄の老舗リゾートらしさ」でもある。

そんな中、数年前に全面リニューアルされたクラブラウンジは、良い意味で裏切られる空間だった。
大きな窓から海が一望できる開放感と、落ち着いたインテリア。
近隣にできたばかりの新しいリゾートたちにも、まったく引けを取らないクオリティだ。
最新ホテルに引けを取らない名護スイート

チェックインを済ませると、いよいよ部屋へ。
今回泊まるのは、同じく数年前に大幅リノベーションされたスイートルーム。

通常の客室と比べて、水まわりも含めてしっかり作り込まれており、
室内はまさに「古さを感じさせない快適なリゾート仕様」となっている。
正直いうと・・・なんちゃって(汗)
──と、ここまで読んで「クラトームって儲かってるんだな」と思われた方へ。
実は今回、ポイントやらアップグレードやらを駆使して、
なんと実質無料で宿泊していたりします。大きな声では言えませんが。
そのあたりの「どうやってそんなことが?」という話は──ここでは割愛。
気になる方は「IHG お得な使い方」などのワードで検索してみてください。
先人たちの英知が、山ほどヒットしますので。
ラウンジでの“おひとりアフタヌーンティー”
嬉しい、ラック形式でのサーブ

クラブラウンジでは、ちょうどアフタヌーンティーの時間帯。
インターコンチネンタルのラウンジで特にうれしいのは、
ブッフェやプレートではなくラック形式でサーブされること。
一段ずつに、沖縄らしさのあるスイーツや軽食が丁寧に並び、
甘いものとしょっぱいものがいい具合に交互に楽しめる。
サンドイッチや紅芋タルトなど──どれも見た目に可愛く、味もきちんと美味しい。
一人でつまみながら、景色を眺めてゆっくり過ごすのにちょうどいい。
ドリンクもオーダー式

さらに嬉しいのは、ドリンクがセルフではないという点。
カフェラテや紅茶などは、その場でオーダーすると、スタッフが丁寧に作ってくれる。
この「ちゃんとしてくれる感」が、実は一人客にとってすごく安心できるポイントなのだ。
ほんの少しの・・・
そして、もうひとつ──
自分がこうしたホテルステイで心がけているのは、スタッフの方にちょっとした感想やお礼を伝えること。
「これ、美味しいですね」そんな一言だけでも、次に来たときの空気が、ふっと変わる気がする。
もちろん、忙しそうなときは遠慮するが、ふとした会話から新しいおすすめを教えてもらえたり、顔を覚えていただけるのも、いいホテルの醍醐味だ。
逆に、ラウンジでスタッフに延々とホテルステイタス自慢やアップグレードされなかったなどのクレームを続けている人を見ると──
ああ、自分はそうはなりたくないな、とひそかに思ったりもする。
カクテルタイムは、大人のたしなみ
カクテルもオーダー式

クラブラウンジで、いちばん楽しみにしているのがこの時間──カクテルタイム。
インターコンチネンタル万座のラウンジでは、カクテルもオーダー式。
リストから選ぶと、その場でスタッフが丁寧にシェイクしてくれる。
意外かもしれないが、クラブラウンジで「ちゃんとカクテルを作ってくれるホテル」は、実はそんなに多くない。だからこそ、ここは貴重だ。
とはいえ、まず飲みたくなるのはオリオンビール!
おしゃれで豊富なブッフェフードも

料理はプレートでサーブされるフィンガーフードのほか、ブッフェ台にはキッシュやポップコーン、サラダに、ワインに合うちんすこうまで。
沖縄らしさがきちんとありつつ、どれも上品で、美味しい。
大人のソロ活男子は、スマートに・・・

ひとり静かにグラスを傾けながら、夕暮れに染まっていく海をぼーっと眺める──
この時間のために、ここを選んでいるような気さえしてくる。
とはいえ、いつまでも居座るのは野暮というもの。
カクテルを2杯ほど楽しんだら、1時間ほどで席を後にして外へ出る。
サンセットウォーク

夕暮れ時の空気の中、海沿いをゆっくり歩く。
この日は運良く、なかなか綺麗なサンセットにも出会えた。
夕食は、ホテル内の和食レストラン「雲海」で
和食が美味しい

散歩を終えたら、予約していたホテル内の日本料理「雲海」へ。
クラブラウンジでのカクテルタイムは、あくまでもアペリティフ。
ちゃんとした食事は、ここでいただく。
こういうリゾートであえて和食、と思うかもしれないが──やはり和食は美味しい。
素材も調理も、ひとつひとつが丁寧で、落ち着いて味わえるのがうれしい。
軽めのセットメニューでお酒と一緒にちびちび楽しむスタイル。
とはいえ、ここまでで十分お腹も満たされた。
そして、締めは大浴場とサウナ
有料制になって、若干落ち着いた大浴場とサウナ

インターコンチネンタル万座には、大浴場とサウナもある。
以前はかなり混雑していた印象があったが、
現在は宿泊者でも基本的に有料制(クラブルーム宿泊者は無料)になったためか、
若干落ち着いた雰囲気で利用できるようになっていた。
海辺のリゾートで、夜にしっかり温まれるというのは、やはりありがたい。
最後は部屋で波の音とともに
部屋に戻ってからは、窓を少しだけ開けて、波の音をBGMにしながらのんびりと。
テレビもつけず、スマホも見ず、ただ静けさに身を委ねる。
そんな夜も、なかなか悪くない。
クラブラウンジの朝食
「沖縄長寿弁当」

翌朝は、クラブラウンジでの朝食からスタート。
ホテルらしく、オムレツやエッグベネディクトといった卵料理もオーダーできるし、
そちらも気になるのだけれど──やっぱり自分は「沖縄長寿弁当」を選びたくなる。
数量限定(30食)のこのお弁当、地元の食材を使った優しい味付けで、
朝から身体にすっと入ってくる感じが心地いい。

そのほかにも、サラダや海ぶどう、季節のフルーツをたっぷりと。
前日の余韻を引きずらないよう、朝はヘルシーに整えるのがマイルール。
万座のビーチで、静かに“戻る”

朝食を終えたら、いよいよビーチへ。
インターコンチネンタルのビーチは、ホテル本館から少し離れた場所にある。
そのぶん人が分散して、エリア全体がゆったりと使えるのが魅力だ。
万座毛を目の前にした白い砂浜。
宿泊者なら、ビーチベッドやパラソルをスタッフに声をかけて自由に借りられる。
最低限の荷物だけ持って、いざ海へ。
肉眼でも見える魚たち
驚いたのは、水に入ってすぐ、肉眼でも見えるほどの大きな魚たちが泳いでいたこと。
ひとりでも、誰の目を気にすることなく、ただ静かに、童心に戻って泳ぐ。
それだけで、旅に出てよかったと思える瞬間が、ちゃんとここにはある。
昼間は日差しがかなり強くなるので、ビーチに出るなら朝の時間帯がちょうどいい。
まだそれほど熱を持たない砂、柔らかな太陽、穏やかな風──
あまり人がいないビーチで、自分のペースで海と向き合う時間は、何にも代えがたい。
レイトチェックアウトで、ゆったりと
会員になれば使える特典

朝のビーチでリフレッシュしたあとは、
クラブラウンジでのんびりドリンクをいただいたり、
大浴場でサウナをもう一度楽しんだり──
そんなふうに、何もせず、でも満たされる時間を重ねていく。
今回は、IHG会員特典の「14時レイトチェックアウト」を活用。
(この特典、実は無料で会員になるだけで、空室があれば誰でも使えるというありがたさ)
チェックアウト
部屋に戻って荷物をまとめ、ラウンジで最後のドリンクをいただきながら、
チェックアウトの手続きを済ませて、
ホテルのスタッフに「お世話になりました」と軽くお礼を伝える。
リムジンバスで
ちょうど14時前、空港行きのリムジンバスがホテルの前に到着。
そのまま乗り込めば、その日のうちに大阪へ。
そう、1泊2日でも、これだけの満足感が得られるのだ。
もう一泊して那覇市内をのんびり散策するのもいいし、
また違うホテルに泊まって、新たな視点で沖縄を楽しむのもアリだろう。
でも──
ひとりで海辺のリゾートに身を置く、そんな時間があったというだけで、
なんとなく「自分をちゃんと休ませてあげられた気がする」のだ。
おわりに|沖縄を旅立つフライトで
那覇空港を飛び立つ飛行機から、沖縄の綺麗な海を最後に見つつ、
「またここに戻って来られるように頑張ろう」──
そんな気持ちになれることこそが、きっと一番の贅沢なのかもしれない。
次回予告と、このブログについて

仕事柄、さまざまな年代や職種の方とお話をする機会があります。
それは僕にとって、楽しくてやりがいや生きがいを感じられる、大切な時間です。
でもその反動か、プライベートでは、
誰とも話さず、何も考えず、「無」になれる時間が恋しくなります。
もちろん誰かと過ごす楽しさも知っているけれど、
今の自分にとっては、
ひとり気ままに、気の赴くままに過ごすひとときが、
いちばん贅沢に感じるのです。
このブログでは、そんな僕自身の視点から、
ひとり時間を心地よく過ごせる場所や、
ちょっと上質な楽しみ方を気ままに綴っていこうと思います。
同じように「ひとりの時間」が好きな方に、
ほんの少しだけ楽しんでもらえたら幸いです。
次回は、Vol.4|最近のお気に入り!九州のサウナホテルをお届けする予定です(8月下旬予定)